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UMAMIは世界共通? 文化の違いが生む誤解:日本と海外の視点

日本発の「うま味」(旨味、Umami)は、ここ数年で海外においても広く知られるようになりました。
「うま味」は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」に続く、第五の基本味として、1908年日本の池田菊苗博士によって発見され、日本語の表記からそのまま「UMAMI」として国際的に知られる言葉となりました。
しかし、全世界で一律に「うま味」が好意的に受け入れられているわけではありません。例えば、フィリピンやマレーシアなどの一部の国では、「うま味」に対して、少し異なる印象を持っていることがあります。こうした誤解や負のイメージが生じる理由の一部は、文化的な背景や言葉そのものが持つ意味の違いに由来しています。

「うま味」の誤解:アジアの事例

フィリピンやマレーシアで「うま味」という言葉がもつ印象には、調味料の「MSG(グルタミン酸ナトリウム)」の影響が大きいです。これらの国々では、MSGが健康に悪いというイメージが強く、「うま味」という言葉がMSGと結びつけられることがあります。実際には、うま味は自然の中に存在する成分であり、昆布や干しシイタケなどからも得られますが、誤解によりネガティブなイメージがついてしまうのです。

言葉の背景と文化的な影響

「うま味」という言葉自体は、日本語から派生しており、その意味は「美味しい」という感覚に直結しています。しかし、他国においては、この言葉が持つニュアンスが異なる場合があります。 他の例として、日本の「懐石料理」という言葉を考えてみましょう。
海外では「懐石」という言葉が「茶懐石」と混同されがちで、「カジュアルな茶会の食事」と誤解されることがありますが、実際には、格式高い料理を指すことが多いです。このような背景の違いが、マーケティングや文化交流において誤解を生みやすい要因となります。
また、「和風」として人気の高い「生魚」や「刺身」「寿司」という概念も、文化的な差異により異なる受け止め方をされることがあります。例えば、日本では「生の魚を食べること」が伝統的で、フレッシュさを象徴しますが、他国では生魚を食べることに対して抵抗感が強い文化もあります。

言葉の壁とマーケティング

言葉や文化的な背景によって、同じコンセプトが異なる受け止められ方をするという事例は、マーケティングにおいて非常に重要な要素です。
例えば、フィリピンやマレーシアで「うま味」を前面に押し出した商品を展開する際には、MSGとの誤解を避け、自然由来の成分や健康的な側面を強調することが効果的です。これにより、「うま味」という言葉に対するネガティブな印象を払拭し、その価値を正しく伝えることができます。 日本の「抹茶」も同様の例です。多くの国では「抹茶」がヘルシーな飲み物として認識されていますが、一部の国ではその苦味や濃厚さが受け入れられにくい場合もあります。そのため、マーケティングの際には、国ごとの味覚や嗜好に応じたアプローチが必要です。

まとめ

言葉や概念が異なる文化圏でどのように認識されるかは、非常に繊細な問題です。うま味の例に見られるように、日本発の言葉や概念が海外で誤解されたり、異なるイメージを持たれたりすることは少なくありません。
マーケティングにおいては、言葉そのものの意味や背景に配慮し、ターゲット市場の文化的な理解を深めた上で適切なコミュニケーションを図ることが成功の鍵となります。
ウィルフォースでは、こういった文化的背景などを深く理解するための調査からテストマーケティングの実施や、価値を正しく伝える表現をご提案致します。 日本で考えたコンセプトが海外でうまく伝わらない、魅力を感じて頂けない、というお悩みがあればぜひ一度ご相談下さい。

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