【海外デザイン】iF DESIGN AWARD 2023に見る最新デザイントレンド
世界三大デザイン賞の一つ、iF DESIGN AWARD 2023の受賞が先日発表されました。
iF DESIGN AWARDは、ドイツ・ハノーファーを拠点とするインダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)が1953年から主催しているデザイン賞で、“Red Dot Design Award”、“International Design Excellence Awards(IDEA) ”と並び「世界三大デザイン賞」と言われています。
今年は56の国・地域から11,000件を超える応募があり、国際的に活躍するデザインの専門家と、今回からサステナビリティの専門家2名が審査員として加わり、計88名の専門家により審査され、2,104件のiF RED AWARDと、最高賞であるiF GOLD AWARDの75作品が決定しました。
弊社Willforceでもクリエイティブ、グローバルプロモーションの支援を行ったPanasonic社のMULTISHAPE seriesがiF GOLD AWARDを、Linear Shaver Lamdash3 LT seriesがiF RED AWARDを、そしてそれ以外にも数多くの受賞をされました。おめでとうございます!
https://ifdesign.com/en/winner-ranking/winner-overview/?awardId=2&find=panasonic&sort=desc&yearId=0
受賞作品の決定に伴い、主催のインダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)が昨年に引き続き、今年のデザイントレンドをConnectivity, Silver Society, Health, Urbanisation, Mobility, Neo Ecologyの6つに大きく分類しレポートを行っており、221ページにも及ぶこのトレンド分析は7/20まで以下のURLよりダウンロードできます。
https://ifdesign.com/en/trend-report
このレポートからそれぞれのトレンドを日本語で要約すると…
1. Connectivity
デジタル化が進むにつれて、ビジネスモデルから商品そのもの、ライフスタイルまで大きく社会が変化しました。AR / VR headset, smart glasses , Generative AI ,GPT 3とDall-Eなどの技術を筆頭に、現実世界とデジタルが重なり合い溶け合っていき、現実世界をより豊かにするデザイン思想が求められています。
Case study – FORM
ARの大半は今までエンタメやゲーム目的で導入されていましたが、スイミングゴーグルFORMのように、スポーツやトレーニングを目的としたアプリケーションも登場しています。
2. Silver Society
世界的な高齢人口属性の増加に対するデザインが求められています。
今まで高齢化社会の課題解決は、メンタルヘルスも含めた健康にまつわるイシューの切り口が多かったかと思いますが、今年の受賞作品にあるように高齢者の社会への積極参加をする方法を模索していくことにより、これらの人材のスキルと交流が社会の重要なレジリエンスにつながる。そして、このような社会がこれからの時代「ノーマル」になると考えられると説きます。
その社会参加のための商品やサービスが今後チャンスとなっていき、住宅や終活、お墓等にもデザインの可能性が浮かび上がってきています。
Case study – ElliQ
ロボットデジタルアシスタントElliQは、音声コマンドやタッチに反応し、日常のパートナーとして、約束の時間や薬を飲むタイミングをお知らせしてくれます。
3. Health
パンデミックを経てここ数年、「Quality of Life」と「健康」は同義の言葉になってきています。局部的な「健康」のみではなく、個人、社会、精神的、物質的にも満たされた「Holistic(全体的な)健康」に対するニーズと、デザインへの期待が高まっています。
Case study – JINS MEM
日本の眼鏡メーカーJINSによるJINS MEMは、ノーズパッドにセンサーを内蔵したスマートヘルスケアアイウエアで、アプリと連動することにより、現在の姿勢が正しいかどうか教えてくれたり、マインドフルネスの向上に寄与します。
4. Urbanisation
人々の世界的な都市流入と都市化が止まらず、複雑な課題を抱えています。
都市空間を単なる場所としてではなく、グローバルな課題を解決する「ハブ」としての機能を求められ、創造的な可能性を提示することをデザインには求められています。
Case study – Superkilen
コペンハーゲンの公園Superkilenは、3つの色分けされたゾーンに分かれており、それぞれ異なるアクティビティに対応することで、多文化が共存する近隣住民の希望に考慮したサードプレイス・デザインになっています。
https://arquitecturaviva.com/works/parque-urbano-superkilen-3
5. Mobility
公共交通機関的な考え方ではなく、ますます個人に即したサービスとしての「移動手段」と住環境が求められています。特に、様々なモビリティの選択肢が増える中で「シームレスモビリティ」への需要が高まっています。
シームレスモビリティはデジタル接続により、さまざまな移動手段をオンラインで予約・計画することが可能になることで、「ラストワンマイル」の徒歩移動を短縮し、シームレスにA地点からB地点に移動することを目指しています。
Case study – Nuro
Nuroは、ラストワンマイル用のコンセプトデリバリービークル。コンパクトな車体なので、歩行者や自転車の邪魔をしません。
6.Neo Ecology
「エコロジー」は、企業や経済の「規範」となりえる普遍的な概念となっています。
SDGsをはじめとした持続可能性に配慮したデザインが求められていますが、相反していわゆる「Green washing」ではないかと消費者からのまなざしも強くなってきいています。
Case study – F SolidPod
固形ジェル、シャンプーのF SolidPodは、従来課題となっていた「一度の使い過ぎ」を回避する機能的な形状をしており、10年間愛用することができます。
https://www.freshlycosmetics.com/en/blog/doubts-solidpod
上記6つのデザインメガトレンドの感想はいかがでしょうか。
エコロジー・サスティナビリティ、ダイバーシティ・インクルーシブの観点は普遍的でありつつ、今年は高齢化社会や都市化など、より包括的な社会課題に対しいかにデザインの力で解決することができるかを問われていると言えそうです。
弊社では、グラフィックを始め、グローバル視点でCG、動画、展示ディスプレなど幅広くお手伝いさせていただいております。お気軽にご相談ください。