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【海外ブランディング】Nissan ARIYA – 英国で観る日本テイストの広告戦略。そのインパクトとは?

2020年1月、英国が欧州連合から離脱。これによって47年間続いた関係に終止符が打たれました。ブレグジットはイギリスだけでなく、日本企業にとっても記念日となります。離脱によって、イギリスに投資している日本の大企業は関税引き下げという恩恵を受けることになるのです。日産自動車株式会社もその企業の一つ。

本記事ではNissan ARIYAを取りあげ、英国にて日本企業がどのようにビジネス展開をしているのか2つの広告を通して紹介します。

 

 

100%電気自動車ARIYAはテクノロジーe-4ORCEを使用

ブレグジットによって、日本車に対するイギリスの関税を2026年までにゼロにするという大きな貿易協定が英国と日本間で締結され、自動車業界にとって大変大きな関心事となっています。

このようなタイミングで、2022年夏、Nissan UKはテクノロジーe-4ORCEを使用した100%電気自動車ARIYAを販売開始しました。

 

テクノロジーe-4ORCEとは、電動で4輪を制御する革新的な技術。日産の持つ電動化技術と4WD制御技術、さらにシャシー制御技術が融合されました。e-4ORCEによって、力強く滑らかな走り、快適な乗り心地、卓越したハンドリング性能、そして路面を問わない安心感が提供されることになります。日本国内のe-4ORCE対応車種はアリアとエクストレイルの2種のみです(2022年8月)。

 

Jersey Evening Postによれば、イギリスの道路を走る日本の自動車台数は過去5年間で劇的に増加中。

コロナパンデミック以前は、日本車のなかでも特にNissan UKのJukeとQashqaiがどこにでも見られ、多く乗られていたことは驚くほどでした。このようなNissan UKへの信頼感、そして運転の技術が問われないこと、加えてでこぼこの道路が多いイギリスで、ARIYAに乗れば快適な運転が確実に確保できることは多くのドライバーにとって魅力的であると言えるでしょう。

 

Jersey Evening Post “UK demand for Japanese car brands goes up 38 per cent in five years”

 

 

 

 

Nissan ARIYAのプロフェッショナルデザインチームの想いとは?

Nissan ARIYAのデザインチームはどのような想いを持っているのでしょうか。それは「予想以上の大胆な表現」。以下、2人のメインパーソンの言葉を紹介します。

 

”日産の魂は日本独特のDNAを持ち、シンプルかつ力強い現代的な方法で表現されたものでありたい”

Mr. Albaisa, Senior Vice President for Global Design

 

また、Senior Design DirectorのArroba氏によれば、ARIYAのインテリアはまるで劇場のラウンジに座っているかの感覚が持てる空間だと言います。

Explore the 100% electric Nissan ARIYA Interior Features | Nissan

 

もう一つ、動画を紹介します。Nissan UKのカーデザイナーであるAlessandro Messale氏がARIYAをスケッチしそれを2Dに、そして2Dを3Dに落とし、その後にリアリティに創り上げていくところをご覧になれます。一流のデザインは手描きのスケッチに始まる温かいものであることが分かります。

 

 

 

 

Nissan ARIYAが打ち出した日本テイストの広告とは?

緻密で高級感のあるデザインに最新技術が備わったNissan ARIYAが誕生しました。この魅力を伝えるのにメディア戦略が重要であることは紛れもありません。ARIYAではそれがどのように展開されているのか、きっと皆さんも興味を持たれたのではないでしょうか?

 

一つ目の広告動画は、Albaisa氏が考える日本独特のDNAが色濃く反映されたものになりました。

まずは、こちら60秒の広告をご覧ください。

 

 

一部を東京で撮影したという動画は、4つの“Who said?”がキーワードになっています。呼びかけるスタイルで電気自動車が未来の車だということを強くアピールします。

 

Who said electricity can’t excite us anymore

– 電気がもう私たちをワクワクさせないなんて誰が言ったの?

 

Who said tradition belongs in the past

– 伝統は過去のものだと誰が言ったの?

 

Who said all the electric can’t handle tough conditions

– 電気は厳しいコンディションに対応できないなんて誰が言ったの?

 

Who said progress can’t progress further

– 進歩はさらなる進歩ができないなんて誰が言ったの?

 

 

動画にはカラフルでクールな東京のネオン街、”おもてなし”の書が飾られた部屋で巨大な筆を運ぶ書家といった日本の美を導入。ARIYAの軽快な走りとこれらのテイストとのギャップが心地よい陶酔感のある動画になりました。

英国では日本文化が人気のため、あえてイギリス一辺倒にせずに英国から見た日本テイストを入れることで日産独自のジャパンDNAを表現しています。

 

 

動画のバックに流れる曲も紹介しましょう。

タイトルは「Blouson Noir」、アーティストはAaRON。AaRONはフランスのポップロックデュオです。Blouson Noirが淡々と流れ、綺麗な画像と一体化しています。

まさに英国の多国籍社会を表現するかのようなミックスの結果、誕生したのがARIYA。そして、この動画も映画のような完成度の高い広告となっていると言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

Nissan ARIYAのメタ空間体験アート

さらに、ARIYA公式ページではエレクトリックアートとして、英国の新進気鋭アーティストによるメタ空間を体験することができます。

 

新進気鋭アーティストは5名。Retro Manni氏がバーミンガム、Tishk Barzanji氏がロンドン、Janice Leung氏はリーズ、Neil Keating氏がリバプール、そしてAntidote氏がマンチェスターという英国の大きな各都市を担当、5都市とNissan ARIYAをテーマにしたメタバース空間を作りました。

この幻想的な空間で遊ぶことができますので、ぜひお試しください。

Nissan Ariya Electrified Lab

 

 

 

マンチェスター・シティのペップ氏を起用した広告動画とは?

次に、ARIYAのもう一つの広告も紹介しましょう。

まったく異なるテイストの本動画では、マンチェスター・シティのマネージャーPep氏を起用した大変イギリスらしい内容になっています。

エージェンシーDark Horsesによる動画をこちらからご覧ください。

 

 

 

Pep氏とはジョゼップ・グアルディオラ氏、英国フットボールプレミアリーグのマンチェスター・シティのマネージャーです。彼が自宅を出てから快適にARIYAを走行させる街中で、レストラン、ブティックやバーバー、そして交通整理のスタッフまで、Pep氏の細かな仕草を真似する人たちが大勢出てきます。「BE MORE PEP」と言うこの動画のジャンルはコメディに分類されているほど。

英国人のフットボール好き、それはチャンピオンシップの総観客数がコロナウィルスの影響によって前シーズンより減少したという状況下でも931万人ということからも分かります。

フットボールとジョーク、これは英国人に間違いなくウケるパターン。このようなデマンドも抑え、イギリスらしいという言葉に尽きる1本もNissan ARIYAの展開する広告戦略だと知っておくべきでしょう。

 

 

 

Nissan ARIYAはe-4ORCE x 100%エレクトリックカー

電気自動車が進化しています。Lightyearというサスティナブルを考えたsolar-electric carもおめみえしています。

本記事では日本テイストと英国テイストがうまく表現されたNissan ARIYAの広告動画を紹介し、英国でビジネスを展開する日本企業の戦略を紹介しました。

日本の日産アリア公式サイトでは女優の黒谷友香を起用したスペシャルサイトで、ライフスタイルの中での使用シーンを軸に、アリアの技術や魅力が伝えられています。

 

日産:日産アリア[NISSAN ARIYA]|黒谷友香MY ARIYA LIFE

 

Nissan UKが展開するコミュニケーション戦略と比較して、皆さんはどちらに興味を持たれましたか?

ウィルフォースは、グローバル市場に向けたコンテンツ制作や戦略設計を得意としています。Nissan UKのような戦略を学び、さらにご自身のビジネスに合わせたカスタマイズが必要な場合、私たちにぜひお任せください。お気軽にご相談いただければ幸いです。

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