「見やすい」は偶然じゃない。海外デザインに学ぶ視線と情報の整理術

海外の広告やプロモーションを見て、「見やすい」「シンプルで伝わりやすい」と感じたことはありませんか?
その背景には、ユーザーが情報をどのように受け取るかを徹底的に分析し、視線誘導や情報の取捨選択を戦略的に行うという、明確な設計思想が存在します。
特に欧米を中心としたデザイン文化では、”ユーザーの注意力は限られている”という前提に立ち、短時間で必要な情報を届けることが重視されます。そのため、情報の見せ方、レイアウト、色彩設計に至るまで、一つひとつが意図を持って構築されています。
視線誘導と情報整理の基本原則
海外のデザインでは、ユーザーの視線の流れを設計することで、意図通りに情報を受け取ってもらえるよう工夫されています。また、見せる情報と見せない情報の取捨選択=情報整理も同時に行われています。
具体的な手法としては
- 最重要情報を視線が自然と集まる場所に配置(例:左上や中央)
- 不要な情報を極力削減し、メインメッセージにフォーカス
- フォントサイズや色、余白の工夫によって、情報の優先順位を明確化
これにより、ユーザーは無意識に“設計者の意図した順番”で情報をスムーズに受け取り、ストレスなく理解することが可能になります。
日本的デザインの強みと課題
一方で、日本の広告やプロモーションでは、「丁寧な情報提供」「正確な記載」を重視する文化があります。
商品の特長、サービスの詳細、注意事項まで細かく記載することで、安心感や信頼感を高めてきたという背景があります。これは、日本人の消費者心理である“情報に基づく判断を重視する姿勢”と深く関係しています。
しかし、情報を過度に盛り込むことによって生まれる課題もあります。
- 視線が分散し、どこから読めば良いかわからない
- 最も伝えたいメッセージが他の情報に埋もれてしまう
- 特にスマホ閲覧や駅構内ポスターなど、短時間接触が前提の場面で離脱リスクが高まる
例として、駅の広告、通販カタログ、商品パッケージなどに見られる「情報過多のレイアウト」が挙げられます。文字や要素が所狭しと並ぶことで、ユーザーはどこに注目すべきか迷ってしまうのです。
グローバルコミュニケーションに必要な視点とは?
日本の丁寧な情報提供スタイルは、国内市場において非常に有効です。ただし、グローバル市場や訪日外国人向けのコミュニケーションでは、それがかえって“伝わりにくさ”を生む場合もあります。
このような背景をふまえ、私たちウィル・フォースでは、視線誘導と情報整理を重視した海外向けのクリエイティブに数多く取り組んでいます。
参考ページ:What is the Best Vacuum for Pet Hair?(Panasonic MEA)
こちらのWebプロモーションでは、現地ユーザーの閲覧習慣や言語構造に配慮し、以下のようなUI設計の工夫を行いました。
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製品の特徴を短い文章とビジュアルで直感的に伝える
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色使いやフォントのコントラストを活かし、視線の流れをコントロールする
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強調色や文字サイズのバランスを整え、情報が自然に頭に入る構成にする
このように、視線誘導と情報整理を戦略的に行うことで、言語や文化の違いを越えて「伝わる表現」を実現することが可能になります。
これからの“伝える”デザインへ
今後、求められるデザインとは、「情報を全て詰め込む」のではなく、「ユーザーの思考に寄り添いながら情報を届ける」設計です。
日本の丁寧さを大切にしつつ、海外デザインに見られるような視線誘導や情報整理のアプローチを取り入れることで、国内外問わず“伝わる”コミュニケーションが可能になります。
これは広告やWebデザインだけでなく、パッケージ、空間デザインなどにも応用できる重要な視点です。
海外向けのプロモーションや、視線設計を意識したクリエイティブにご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください!
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参考記事
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Why Japanese Websites Look So Different
https://medium.com/@mirijam.missbichler/why-japanese-websites-look-so-different-2c7273e8be1e
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Japanese Advertising vs. American Advertising
https://www.humblebunny.com/japanese-advertising-vs-american-advertising
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How Japanese Website Design Differs From The West
https://www.infocubic.co.jp/en/blog/website-design/how-japanese-website-design-differs-from-the-west